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ダイビングの気になるを解説◎~耳抜き~

こんにちは!ダイビングインストラクターのかっきーです◎
大阪・東京その他諸々に続いてここでまさかの沖縄も緊急事態宣言に入ってしまいましたね・・・
ダイバーにとってダイビングのブランクができてしまうことは当然良いことではありません?
そしてブランク明けのダイビングでトラブルを招きやすいものとして挙げられるのが「耳抜き」です◎
今回はこの耳抜きについて解説していきます。

耳抜きとは

一般的に耳抜きと聞くと「耳に入った水を抜く」や「耳から空気を出す」のようなイメージを持っておられる方も多いのではないでしょうか?
しかしながらこれらは全然違います。
ダイビング 耳抜き
耳抜きとは「鼓膜の内側と外側に生じた圧力差を解消する方法」です。
言葉の意味だけ聞いてもよくわかりませんね(笑)
ここから耳抜きのメカニズムと必要性、コツ等を順に解説していきます。

なぜ鼓膜の内外で圧力差が生じるのか

まずはここからです。ダイビングというスポーツは水中での活動となり、
陸上では存在しない水の重さである「水圧」を受けることになります。
この水圧は水深が深くなればなるほど締め付ける力が強くなり、
圧力を受けることによって密閉空間内の空気は押し潰されていきます。
例)・風船を水中に沈めると小さく潰される
  ・逆の現象として飛行中の飛行機内でポテチの袋パンパンになる(上空は地上よりも圧力が弱くなるため)
耳の構造として鼓膜は薄くて柔らかい膜となっており、
鼓膜の奥には空気が存在します。
そしてさらに奥では細い耳管(じかん)という管があり鼻・口と繋がっているのです。
ダイビング 耳抜き
しかしながらこの耳管、普段はかなり狭い管になっていたり閉じていることもしばしば。
ということは耳は鼓膜でフタをされた密閉空間に近い構造になっているのです。
そこでダイビングで少し水中に潜っただけで耳の内部の空気は水圧によって押しつぶされ、
鼓膜の内外で圧力差が生じることになります。

圧力差が生じた際にどうなるか

鼓膜の内外で圧力差が生じると鼓膜が内側に引っ張り込まれることになります。
ここで感じるのが違和感や痛みです。
少しの圧力差であれば「なんか耳が変やな~」程度のものですが、
水深2mともなると「耳イッタ!!」となるでしょう。
たった2m程でもかなりの痛みを伴うのです。
ダイビング 耳抜き
そしてそのまま我慢して深く潜るとついには鼓膜を損傷してしまうことになりかねません。
こうなる前にしなければならないのが耳抜きなのです。

耳抜きのメカニズム

鼓膜を損傷してしまえばダイビングどころではありません。
そうなる前に耳抜きをしなければならないのですが、
ここからは耳抜きの具体的な解説です。

耳抜きの手順

耳抜きにはいくつか方法がありますが、今回は一般的な方法(バルサルバ法)を紹介します。
鼻をマスクのシリコンの上からしっかりとつまみ、
鼻から「フンッー!」息を出します。(つまんでるので外には出ませんが)
ダイビング 耳抜き
これは一体何をしているのかというと、
本来鼻から出るはずだった空気の出口を塞ぐことによって行き場を失い、
鼻の奥へ逆流していきます。
そして向かう先は耳管です。
さらに耳管を通過してついに鼓膜の内側まで到達するのです。
この「空気が鼓膜に到達」した時に圧力によって内側に引っ張られていた鼓膜を
正常な位置へ戻し、同時に違和感や痛みも消えるという事になります。

耳抜きの注意点

耳抜きはダイビング中に一度だけやればいいというものではありません。
水中でうまく耳抜きが出来ても、そこから水深が深くなるとまた耳に違和感を感じる事になります。
ということは耳抜きは一回のダイビング中に何度もする必要があるということですね。
ダイビング 耳抜き

うまく耳抜きできない場合の対処法

耳抜きがスムーズに出来るかどうかは個人差があり、
特にダイビングを経験したことが無くてもポンポンできる人もいれば、
何度耳抜きにチャレンジしてもなかなかうまくいかない人もいます。
これにはいくつか原因が挙げられますので、
耳抜きがうまくいかない方は前回のダイビングを思い出しながら原因を追究していきましょう。

case1 耳抜きのタイミング

ダイビング時、潜降(潜っていく)してから耳抜きしていませんか?
耳抜きが苦手な方の特徴として「鼓膜の内側に送り込む空気が少ない」というものがあります。
簡単に言うと「鼓膜を押し返す力が弱い」ということです。
よほど弱い力で耳抜きをしない限り押し返す力が0という事はないはずなので、
耳抜きのタイミングに注意してみてください。
耳抜きがうまくいかない場合は潜降してから行うのではなく、
「潜降を始める時にまず耳抜き」をしてください。
そして潜降が始れば耳に痛みを感じる前に耳抜きを再度する。
要は「耳抜きは耳に異常が生じる前にやっておく事前準備だ」と考えましょう。

case2 鼻詰まり

鼻詰まりの状態では空気の通り道になる耳管まで空気が到達できないことがあります。
これはさすがにお手上げ状態ですので無理やり耳抜きをすることはせず、
耳に損傷を与えてしまう前にその日のダイビングは諦めましょう。
体調管理が大事ということですね。
特に寝不足と二日酔いは大敵です!

case3 しっかり鼻をつまめているか

鼻詰まりはないし、めちゃめちゃこまめに耳抜きをしようとしているのに、
それでもうまく耳抜きができない・・・
そんな時に考えられるのがしっかりと鼻をつまめているのかどうかです。
自分の鼻くらいつまめますわ(笑)
と思う方もいるかもしれませんが、実際にダイビングライセンス講習を担当する際によく見る光景です。
ダイビング 耳抜き
ダイビング中に鼻をつまむという行為はマスクの上からつまむことになります。
この時にある程度鼻をつまめていても鼻の穴に少しの隙間があるだけで、
その隙間から空気がほとんど漏れ出てしまい耳まで到達しないことがあります。
鼻をつまむ時は「鼻の穴を塞ぐためにつまんでいる」という事をお忘れなく!

まとめ

耳抜きがうまく出来ればダイビング中の心の余裕も大きくなり、楽しむ時間も倍増です。
ダイビングを始める際の最初の壁になることもしばしばありますが、
対処法もたくさんあるのでいっぱい試して自分に合った耳抜きを探しましょう◎
実際に海に行かなくてもある程度水深があるプールでも練習は可能なので、
身近なダイビングインストラクターと一緒にプールで特訓もアリですね。
耳抜きをマスターして安全に、楽しくダイビングをしていきましょう!!

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